桜がとてもきれいな季節になりました。
春先とはいっても、まだ夜は冷え込みますね。さて、もしこの時期にヴァイオリンをケースに入れずに放置するとどうなるでしょう。
本体にもダメージはあるのですが、わかりやすいところで弓です。弓が、暖房により木のスティック部分が膨張して張ってきます。これは恐ろしいことでして、ヴァイオリンもチェロもですが弦楽器は本体よりも弓の方が、寿命が短いのです。どの位短いかというと、ヴァイオリンはよいものは数百年くらい持ちますが、弓は使い方や保管方法によっては数年でダメになることも。きちんと使えば100年以上使えるのですが、その壊してしまう理由はこういうことです。
ケースに入れずに外気に当てたままにしておくと、外気が温かい場合はどんどんしなっていき、弓がどんどん張っていきパンパンの状態、もし弓を緩めることを忘れたまま放置しようものなら、自然に壊れてしまう可能性だってあります!!基本の基本ですが弓は絶対に緩めてからケースにしまいましょうね。
ヴァイオリン本体はほとんどの場合、修復が可能ですが弓は一度折れると修復は至難の業。直しても、またすぐ折れやすくなってしまいます。そこまでいかなくとも、しなりがなくなってしまいます。しなりがなくなると、ふにゃんとした感じになり、とても弾きづらくなります。弓が死んでいる状態です。さらに恐ろしいことにその状態が弓が終わっていると気づかず使っている人も結構います。
この状態になると、とにかく弓を押し付けないとしっかりと音が鳴らなくなるという恐ろしいことになります。話を戻しますと、なんせ木ですので、弓を張っている時間は出来るだけ短い方がいいのです。張力により引っ張られ、しなりがどんどんなくなっていくわけですから。
いい弓だと何十万円、時には何百万円もします。弓は一度しなりがなくなるともうどうしようもなく買い換えるしか手段がなくなります。くれぐれも、ヴァイオリンはこまめにケースの中にしまい、かつなるべく過ごしやすい温度湿度のところに保管するよう心がけましょう。